とん助 の「パンスタードリームで釜山へ!」
その1 20年ぶりの集合はコスモスクエア駅

2014年6月20日。大阪のベイエリア、地下鉄中央線の終点・コスモスクエア駅です。 発着港取材のために何度か降り立ったこの地下鉄駅ですが、今日はいつもと違います。今日は船に乗って釜山へ行くんです。

フェリーターミナルへ直送してくれる送迎バスが、駅最上階のバスのりばから出ています。エスカレーターでバスのりばへ上がると、遠くに今日乗船する釜山行き「パンスタードリーム」の赤い煙突が見えました。おっ、ちゃんと居るな。船の所在を確認した瞬間、いよいよ船旅が始まるんだと期待が膨らむ瞬間です。

20年ぶりの集合はコスモスクエア駅

私的な話で恐縮ですが、今回の旅行は私の20年来の友達を誘いました。実は彼は、このウェブサイト『フェリーで海外旅行へ行こう!』を開設するきっかけになったと言ってもいい人物なんです。というのも、20年前の初めての中国旅行で私が「一緒に行ってみる?」と誘ったのが彼。このとき本当は、上海行きの新鑑真号に乗って、船で中国へ渡りたかったんです。しかし当時学生だった彼のバイト先が忙しくて、結局は飛行機で行くことに。船で行きたかったなあ、と飛行機の窓から東シナ海を眺めながら心残りに思ったものでした。

そうした経緯もあって、船旅への憧れが積もり積もって7年前に『フェリーで海外旅行へ行こう!』を開設。旅行した後も彼とは年に数回は会っていろいろ話し込む仲なんですが、一緒に海外へ出掛けるのは、そのとき以来20年ぶりのこと。船旅どころか旅行にあまり関心を持たない彼がどういう反応を示すのか、興味引かれるところです。

そんな彼と駅で落ち合って、送迎バスでフェリーターミナルへ向かいます。バスの窓には、カーテンの代わりに旅行商品をアピールする大きな布地が張られています。

フェリー会社の熱心な営業姿勢が見て取れる光景ですが、実は今回のモニター旅行も椀飯振る舞いなキャンペーンで招待していただいたものなんです。

今回のモニター旅行は、往復の乗船券や船内での食事のほか、上等船室用ラウンジ利用、操舵室見学が無料で体験できる豪華な内容。その代わりに、乗船レポートをネット上にアップするのが応募条件でした。 ということで初めての旅日記を書いておる次第であります。(^^;A

韓国航路の洗礼?

送迎バスに乗ること5分。大阪南港の大阪港国際フェリーターミナルに到着しました。

と、いつもはここである洗礼を受けるんですが、今日はない。

その洗礼とは、キムチの匂い…  釜山便が着く日は、建物の入口付近にキムチの匂いが充満しているんです。ああ、国際色豊かだな、と感じるところなんですね。

断っておきますが別に船が臭いのではありません。いつもは本場直送の食材を待ち受けるライトバンが3台くらい、ターミナルビル玄関のすぐ近くにバックドアを開けっ放しにして停まっていて、そこからキムチの匂いが漂ってくる。

ま、そんな匂いも建物に入ると全然気にならなくなるんですけどね。肩すかしにあった気分で建物に入ります。

3時間前に到着した下船客の託送手荷物でしょう、パレットに積まれた韓国商品の段ボールが入口を塞ぐように置いてありました。こういうほとんど貨物な手荷物を見るのも、国際航路ならではの風景です。

乗船手続き窓口でパスポートと予約済みメールをプリントアウトしたものを提示して、搭乗券や船内ラウンジの利用カードをもらいます。施設利用料は1人620円。手続きはあっという間に終わりました。飛行機の搭乗手続きより早い。手続きが済んだら3階の展望フロアへ上がります。

待ち時間は展望フロアで過ごそう

税関手続きや出国審査などの設備は1階にあります。税関手続きの前のスペースに椅子が並んでいて、団体客はここで乗船時間を待ってます。

もし乗船クラスが2等船室の大部屋なら(それも居心地良さそうな寝場所を早い者勝ち勝負で確保したいなら)、税関手続きを待つ列に並んだ方がいいんですが、そうでなければ3階の展望フロアに移動するのがおすすめ。

実はここの3階フロアは海側が全面ガラス張りになっていて、これから乗船する船を眺めながら待ち時間を過ごせるんですね。岸壁での積み卸し作業を見学するマニアックな楽しみ方もできます。

もちろん休憩室なので椅子とテーブルが用意されています。自販機もあります。人が少ないのでゆったりとできます。

天気が良ければバルコニーへ出てみましょう。

こんな風にパンスタードリーム号を撮影できるスポットなんです。空港でよく見る、網の目の細かい無粋なフェンスはありません。旅行仲間と記念写真に収まる構図としては、船との距離がちょうどいい感じです。

ただ、船の全体を撮影できるのは岸壁の西側に接岸するパンスタードリームのみ。上海行きの船は手前のバースに接岸するので、全体撮影には向かないですね。

ちなみにフェリーターミナルを設計したのは建築家の安藤忠雄氏。曲線と斜線が組み合わさった、近未来を感じさる建物です。フェリーターミナル入口から乗船まで、下船から出口まで、乗客の動線が短くてすむコンパクトな建物。免税店やレストランが無いのが残念な大阪港国際フェリーターミナルですが、それは建築家の責任ではないです。

ささ、建物の中に戻ってくつろぐことにしましょう。

3階フロアの一角がパンスター乗船客用のラウンジになってます。

開設当初は上級船室専用のラウンジとして登場したのですが、さっき窓口で尋ねたら誰でも自由に使っていい、とのこと。奥には電源が入っていませんでしたがパソコンが置いてありました。頼めば使えるようになるのでしょう。他にテレビ、ソフトドリンクとパンの自販機、電子レンジもありましたね。

写真にはありませんが、深く腰掛けられるソファーもありました。天井が高くて明るく、居心地が良い雰囲気。今日はこのラウンジで乗船時間を待つことにします。

フェリーターミナル設備の詳細については、大阪港周辺のガイドにまとめてありますので参照してください。

今回の旅行は金曜日出発で船中1泊、釜山に上陸して1泊、復路でまた船中1泊というスケジュール。釜山なんて飛行機を使えば関西空港から1時間ちょっとの距離。それを今から船で20時間近く掛けて行きます。

同行する友達は金曜日と月曜日の休暇を取って、今回のモニター旅行に参じてくれました。20年ぶりに一緒に海外旅行できる喜びと、休暇を取って同行してくれた感謝の気持ちを伝えて、これから始まる船旅への抱負を聞いてみたい。旅行を前にどんな気持ち?と尋ねると、彼は「う~ん…。」と言ったきり黙ってしまいました。

波浪予想図で心の準備

今日の天気は、湿度が高くてどんよりした空気。遠景を楽しめるほどの視界はききそうにありません。空模様こそ薄曇りですが、梅雨まっただ中でいつ小雨が降ってきてもおかしくない天気予報でした。

船旅というものは、風が強ければ波が立ちます。波が立てば船は揺れます。

瀬戸内海は内海なので大きく揺れる心配はありませんが、対馬海峡は風がなくても少しは揺れます。波が大きいときは盛大に揺れるそうです。

私もちょっぴり心配なので気象庁のサイトから沿岸波浪予想図を開いてみました。

波浪予想図によると、瀬戸内海は穏やか、対馬海峡も平和な航海になりそうな感じ。友達にタブレットの画面を見せて、彼の不安を取り除こうと努めます。

私はといえば、船の揺れはあまり気にならない。それよりも、今回は何が何でも旅日記を書かなければならないので、そっちの方で違う意味で緊張。

釜山の観光案内サイトを見たり、ラウンジ備え付けの海外おみやげパンフレットを眺めてるうちに、さっきコスモスクエア駅から送迎してくれたバスが建物の下の方に入ってきました。出国手続きを終えた後、パンスタードリームまでこのバスが送ってくれるのでしょう。

14時10分。館内に乗船案内のアナウンスが流れました。

さあ、いよいよ乗船です!

(つづく)

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