さてこの『イースタンドリーム』号ですが、
前身は’08年12月まで鹿児島~奄美各島~沖縄を運航していた
マリックスラインの『クイーンコーラル』号。
↑(上)旧『クイーンコーラル』号 (もりえだひろふみ氏 『にらいかない』より掲載。)
(下)現『イースタンドリーム』号 (けろあき氏『けろあき’s blog』より掲載。)
新造船『クイーンコーラルプラス』号が就航したため引退し、DBSクルーズフェリーに売却。
釜山で約2ヶ月・800万ドル(8億円)かけて改装されたとのこと。
ということで、これからは『イースタンドリーム』号船内設備等について紹介して行こうと思います。
まず船室ですが、
クラス 客室 定員 客室数 定員数
VIP プレジデントルーム 2 1 2
ロイヤルスイート 2 1 2
ファースト ジュニアスイート 2 3 6
ファミリースイート 2~6 18 70
エコノミー スタンダードA・フロア 4 6 24
スタンダードA・ベッド 4~12 18 120
スタンダードB 18~100 8 234
があります。総乗客定員は458人というわけですね。
阪神-九州間瀬戸内航路の様に、
1人用1等個室があれば使わんこともなかったんだけど、そんな設定ないし、
何しろVIP&1STの定員比率が全定員の2割もないんだから、
どうしてもスタンダードAを利用せざるを得ないんだけど、
2段ベッドのつもりがフロア部屋にされてしまったのは、先に書いた通り。
Y旅行社のツアー客の皆さんや日本人個人スタンダードA利用客を、
男女別に4人部屋に振り分けるのが精一杯の配慮だったんでしょう。
(※カテゴリー・定員数は2009年8月の乗船当時のもの。
2010年2月にリニューアルされたHPによると、定員数等が大幅に変更になっています。
クラス 客室 定員 客室数 定員数
VIP プレジデントルーム 2 1 2
ロイヤルスイート 2 1 2
ジュニアスイート 2 3 6
ファースト ファミリークラス・ベッド 2 2 4
ファミリークラス・フロア 4 15 60
6 1 6
エコノミー スタンダードA・ベッド 8 6 48
スタンダードA・フロア 4 6 24
スタンダードB・ベッド 4 1 4
8 7 56
12 1 12
スタンダードB・フロア 14 3 42
スタンダードC・フロア 16 4 64
80 1 80 総乗客定員410人)
どうしてこの様に優等船室が少ないのか、というと、
それは前身の『クイーンコーラル』号が、奄美の島々を巡る『生活密着船』だったから。
『クイーンコーラル』号時代の船室は
客室 定員 客室数 定員数
特等 2 2 4
1等 5~10 9 50
2等寝台 4~8 8 60
2等 大部屋 366
ドライバー室 8~12 2 20 総乗客定員500名
この様に元々特等/1等の定員比率が1割強と少ない船でした。
奄美の人々にとってこの船は『足』の一部であり、毎回の『足』に高額はかけてられない、ということと、
例えば鹿児島→奄美大島を船と飛行機で比較すると、
便/日 所要時間 運賃(QC号引退当時・燃油サーチャージ含む)
船 1便 11:50 特等:23800円/2等:10600円
飛行機 5便 最速50分 23100円
このように、飛行機の運賃は特等とほぼ同額(逆に若干安い)ながら、
便数も多いし、所要時間差なんて てんでお話になりません。
どうせ同じ高い金額払うなら飛行機に乗っちゃう、というのも無理からぬところ。
ということで、上等級船室利用は他の航路に比べて元々極端に少なかったようです。
そしてその3の1で「『イースタンドリーム』号は『奴隷船』認定か?」なんて書きましたけど、
元々『クイーンコーラル』号自体がとても『壮絶な船』だったようで、
たとえリニューアルされても、どうもその持って産まれた『宿命』からは逃れられないのかも。
http://homepage3.nifty.com/mansei3/rep/qcrepo.html
(mansei3氏『THE FERRY BREEZE』)
このような経緯により、特等2室はVIP2室に、1等は1STに、
2等寝台とドライバー室はスタンダードA・ベッド室に、それぞれ転用されたのでしょう。
実は『イースタンドリーム』号の2等100人(現80人)大部屋は新設されたもの。(詳細は後述。)
なのでその他の定員が増えている部屋は、
『クイーンコーラル』号時代の2等大部屋を潰して改装されたと思われます。
この客室設定でも、『クルーズフェリー』を意識して上等級船室を増やす改造を行った結果なのです。
で、改めて今回利用したスタンダードA・フロアルームの紹介を。
部屋の広さは10畳ほどでしょうか。そしてアウトサイドで窓があります。
まぁ、インサイド・窓なしのスタンダードA・ベッドルームに比べれば、確かに狭っ苦しい感じはしません。
この様にマットが部屋一列に敷かれていて、
その反対側に、ロッカーと、テレビと、冷蔵庫と、
(写ってないけど冷蔵庫右側に)手洗い(W.C.でなくて本当の意味の流し)の設備があります。
エアコンの調節が各部屋でできないのがたまにきずですが。
今回の同室になった乗客は、Y旅行社ツアー客のAさん・Bさん、
そして束草(東海よりもう少し北にある都市)で蟹の買い付けをするために往復利用していて、
航路開設からまだ1ヶ月チョイなのに『イースタンドリーム』号利用が今回初めてじゃない個人客Cさん、の3人。
みんないいひとだったんだけど、
家族や友人となら『川』の字になって寝られるけど、さすがに赤の他人とじゃぁねぇ。
僕はイビキがうるさいんで、迷惑もかけたくなかったこともあり、
マットをテレビ下に移動して寝ました。
そしてベッドルーム→フロアルームに回されることになった時、インフォメーションでウリとして提示された
「フロア部屋にはテレビがありますよ。」なんだけど…
放映されているチャンネルは、全て韓国語放送のみ。
日本語放送もいくつか入ってたみたいなんだけど、全てがこの様になぜか回線切断・静止画像状態。
日本に近づいたら放映が復活するのかなぁ?とわずかな期待を持ってたんだけど、
翌日朝の境港入港までこの状態でした。
日本海ならBS放送なら確実に入るだろうに。
日本人客増やしたいんなら、こういうところから一歩ずつ、痒い所に手が届いていかないとねー、と思う。
3F
1F→2F
さてここからは、『イースタンドリーム』号のパブリックスペースの紹介を。
まず船内の旅客スペースは、1Fから3Fの3デッキ構造になっています。
そして階段の壁には、ギリシア神話をモチーフとしたレリーフが。
船内のそこここで、この様に生活密着船→クルーズフェリーへのリニューアルをアピールしています。
ここがパブリックスペース中心部の2Fエントランス。
インフォメーションがあり、その向かって左にファミリーマート。
左壁側に食堂があり、ウオータークーラーが設置されています。
インフォメーションの右側が免税店。
そしてこの写真を撮っている背後にPCゾーンがあります。
この写真は深夜、トイレに起きた時に撮影したもの。
夜間インフォメーションや売店がCLOSEされる航路は多いんだけど、
『イースタンドリーム』号では一晩中インフォメーションもファミマも開いているようです。
この点については平均点以上!
これが免税店。開店時間は
PM19:00~21:00、AM10:00~11:00、と書いてあります。
24時間制表示にするなら、『AM』はともかく、『PM』はいらないと思うけど。
そんなことはともかく、境港入港はAM9:00なので、実質利用可能なのは夜の2時間だけです。
僕はブランド品、洋酒、タバコに興味がないんで、店内にも入らず、外から写真を撮っただけでした。
(が、後で安い洋酒でも買うんだったかなー、という事件が。)
なんにしても、イミグレ後に免税店が立ち並ぶ空港とは違い、
東海/境港ともに、港の施設内に免税店はありませんでした。
なのでこれらを購入するなら、この『イースタンドリーム』号船内免税店を利用するしかないです。
(博多港に免税店があるのは、毎日何便も国際航路の高速船/フェリーが発着するからで、特別なこと。)
そしてこれがPCゾーン。
フェリーにゲームコーナーがあるのは日本では定番なんだけど、
韓国籍の『イースタンドリーム』号にはなくて。
なのでこのPCゾーンが、サイバー社会・韓国の子供達のネットゲームコーナーと化していました。
この状況は、暗くなっても子供達が寝静まる頃まで途切れることなく…
でもさすがに真夜中には誰一人やっていませんでしたね。
ということでようやくPCを覗けたんだけど…
例によってハングル入力しかできませんでした。
日本語入力できるようにしといてくれよぉ~。
18:00の出港後しばらくするとお腹が空いてきました。
ということで、そろそろ晩御飯の時間。
インメーション前の食堂らしき部屋では、韓国人団体客達が御飯を食べ始めています。
部屋の前にはどの団体客が何時から食べる、というハングルの時間割があったけど、
僕ら外国人個人客は何時からなんだ?
こんな窓もない殺風景で狭苦しそうな部屋で食べるのか?
メニューは?
値段は?
(@_@?)(?@_@)(@_@?)(?@_@)(@_@?)
頭の中は『?マーク』で一杯です。
何しろ船に乗ってから全然日本語による放送がないもんで、情報が全くないんです。
とりあえず食堂の入り口でゴールキーパーのごとく立っているガタイのデカイ船員に聞いてみることに。
「わっと たいむ いるぼんさらむ ぱーそなる ぱっせんじゃぁ もっご たいむ?
(日本人個人客の食べる時間は何時からですか?)」
たまに韓国単語の混じる文法的にも正しいかどうか解らない変な中学生英語で尋ねると、予期せぬ答えが。
「アニョ、ヨギエソ オプソヨ。(いいえ、ここではありません。)」
「え?よぎ あにょ?!(え、ここじゃない?!) じゃぁ、おでぃえよ?(じゃぁ、どこなのよ?)」
「カフェ。」
「かふぇ、おでぃえよ?(カフェってどこよ?)」
なにしろ出港まで船内探検を控えてたんで、どこに何があるかまだよく解ってないんです。
で、聞き返そうとしたんだけど、
この船員、団体客に呼ばれると僕を無視して食堂内に引っ込んじゃったんで、質疑応答はここまで。
いかにもフィリピーナなウエイトレスに僕のメチャクチャ英語が通じるかどうか解らなかったし、
食堂隣のインフォメーションもまだまだ忙しそうで、こんな『些細なこと』を聞くのも憚れる状況だったので、
仕方なしに自力でカフェを探すことに。
「かふぇ、おでぃえよぉ?(カフェってどこなんだよぉ?)」
どうもこの2Fエントランス近辺に『カフェ』はなさそう。
ということは、
1F?3F?
船首?船尾?
ということで、とりあえず1Fに行ってみると、壁に『BAR・カヌンギル(「往く道」という意味らしい)』の文字と矢印が。
「『カフェ』って『BAR』のことか?」
だけどオープン時間はPM9:00~12:00って書いてあるし。どういうことだ【・_・?】
ともかく矢印の方向に行ってみることに。
でも、矢印通りに進むと船外通路なんだよね。
この先本当にBARなんてあんの?
船の揺れで真っ直ぐ歩けないので、手摺りに掴まりながらソロリソロリと歩いていくと…
ドアがありました。
「ここかな?」
と中に入ると、残念、はずれ。
そこは船首の2等大部屋でした。
で部屋の外に再び出てみると、そのドアの向こうに階段があり、またまた先ほどと同じBARへの矢印が。
「でもなんなんだろーなー、このバリアフリーを全く考慮していない構造は。
この船、一体何年前の設計なのよ?」
なんて思いつつ、ともかく階段を上っていくと…。
「おー、あったあった!」
ようやくBARを発見。
でもまだ準備中らしく入れません。
にしても味も素っ気もないドアだなー。
もう少し味気ある色でドアを塗装したり意匠を凝らしたりして、
ドアに店名『BAR カヌンギル』の看板を掛け、
夕食/朝食会場としての営業時間と、BARとしての営業時間を明示し、
そして『準備中/CLOSE』の札をぶら下げといてもバチ当たらないと思うんだけどなー。
仕方なく部屋に戻ると、蟹屋Cさんが
「BARでのディナーなら、7時からだよ。まだチョット早いねぇ。」
と教えてくれました。
うー、お腹空いているのにー。
早く19:00にならないかなー。
↑(上)旧『クイーンコーラル』号 (もりえだひろふみ氏 『にらいかない』より掲載。)
(下)現『イースタンドリーム』号 (けろあき氏『けろあき’s blog』より掲載。)
さてさて、なんでカフェがこんなにヘンな構造の場所にあるのかというと…
旧『クイーンコーラル』号と現『イースタンドリーム』号の船体写真を見比べて下さい。
生活密着船だった『クイーンコーラル』号には、ブリッジの前に物資を積み下ろしするためのクレーンがありますね。
しかしクルーズフェリーに生まれ変わった『イースタンドリーム』号にはそんなクレーンなんぞ不要、ということで撤去。
そしてその空いたクレーン跡地に、船首展望カフェと2等大部屋が新たに増築された、というわけで。
つまりこの展望カフェが『クルーズフェリー・イースタンドリーム』号大改造の目玉の一つ、というわけなんですねぇ。
ちょうど船内食堂とカフェで厨房を挟みこむような位置関係になっていると思われます。
なので、
疑問「一体何年前の設計?」 → 答え「今年になって設計・改造されたばっかり。」
にしても、これらカフェ/2等大部屋増築に当たり、船内通路を設けるというオプションはなかったのかな?
あったのかもしれないけど、船内図を見る限り通路らしきものは見当たらないし、
そして位置的にはたぶん厨房を通らないと行けない構造だし。
これではマジに、大嵐の日や厳冬期に
カフェへ食事に行くために/または2等大部屋へ戻るために、船外通路を通っている途中、
暴風雨にあおられ、氷雪にさらされて寒さに凍え、
水溜りや降り積もった雪・凍った床に滑って転び、
船の揺れにバランスを失い、大波にザブンとさらわれ、
なんて、少なくとも全身ビショ濡れになるのは必定、ヘタするとそのまま海中に転落して遭難、
という命懸けでご飯食べに/寝に戻りに行かなきゃならない、
笑い事じゃ済まされない状況も起きかねない、かも。
そんなこんなで部屋でしばらくボケーっとしていると、ようやく19:00も過ぎ、
もちろん「レストランがオープンしました。」という船内放送もなかったけど、
ツアー客Aさん・Bさんがツアーのスケジュール表どおりにカフェに晩御飯を食べに向かいました。
(彼らは行きもこの船だったんで、もちろんカフェの場所は知ってる。)
Cさんはファミマで何か食料を調達するからカフェには行かない、ということだそうなんで、
僕も頃合をみて再びカフェに向かうことに。
これがカフェの内部。
あまり個性的ではないですが、小奇麗ではあります。
(ま、増築したばっかしなんで当たり前だけど。)
支配人役の男性船員、レジ係の女性船員、お皿下げ係のフィリピーナの
3人体制で客対応しています。
ディナー料金はW10000/¥800/$9、と3通貨が使えるのも国際航路ならでは。
ロシア通貨『ルーブル』がないのは、国際競争力上しょうがないのかな。
8/12当日のレートだと、
10000ウォン≒772円<800円<9ドル≒867円
と、ウォン建てが一番安い。
ま、ドルは持ってなかったんで問題外なんだけど、円建ての方が安ければ円払いしてたのかなぁ。
何にしても釜山で両替したウォンがまだ大量に残ってたんで、
10000ウォン支払って晩飯にありつくことに。
ディナーメニューはバイキング方式。
ローストビーフ・海老・焼肉・八宝菜風・点心・キムチ・サラダ・
スープ・ピラフ・ご飯・ケーキ・あんみつ・スイカ・ジュース・コーヒー…などなど。
またまた没個性ですが、800円としてはかなり豪勢なラインナップです。
ということでバイキングしてみました。
お皿には焼肉・ローストビーフ・海老・八宝菜風(ポテトフライにあんかけ)・ピラフ・スイカなどを載せましたが、
実はこれらの下にパンケーキ!が埋まっています。
料理を取る時、
「あれ?これパンケーキみたいだなぁ…」
とは思ったんだけど、まさかローストビーフと焼肉の間にパンケーキが置いてあるとはつゆとも思わず、
「もしかすると、何か知らない料理なのかなぁ?」
ということでお皿に載せたんだけど、
その後、デザートのスイカがトレイ群の真中に置いてあるのを見て、
「しまった!あれマジにパンケーキじゃん…」
と、愕然とあきらめモードに。
前菜・メインメニュー・サイドメニュー・主食・デザートは大体固めて置き、
ケーキやフルーツ・あんみつなどのデザートはメインメニューなどの隣ではなく
一番最後に置いて欲しいなぁ。
そんなこんなもあったけど、他にご飯、スープをよそい、そしてビール小瓶4000W(318円)を別注して
「いただきま~す!」
お味の方は、ま、無難に美味しい。
バイキングなんでお代りし放題なので、量的にも問題なし。
もう一皿おかずのお代わりもして、満腹満腹。
でもなぁ…
ローストビーフにはちょうど爪楊枝くらい(約5cm)の小骨があって、
がっつくと喉に小骨が刺さってとんでもないことになりかねず。
あと、海老の殻を剥かせるんだったら、紙ナプキンやおしぼりを各テーブルに用意しておくのは
必須だと思うんだけどなぁ。
腹ごしらえもすんだので、次はお風呂に行くことに。
『クイーンコーラル』号の設備を引き継いでいるのなら、
『イースタンドリーム』号には3Fに展望大浴場と、それとは別に1Fにシャワールームがあるはず。
それにしてもツアー客Aさんが東海港で言っていた、
「まともにお風呂に入れない。」という謎のセリフが脳裏をよぎります。
ということで、3F展望大浴場にやってきました。
大浴場の入浴時間は朝6時から夜12時まで。
国内長距離航路でも深夜閉鎖が主流で、早い所だと22時CLOSE、
深夜中いつでも入れるという航路は数えるほどしかありません。
そして翌朝はOPENせず、という航路も多いので、入浴時間的には平均点よりちょっと上くらいでしょうか。
さて服を脱いで浴室に入ってみると…
展望大浴場なんだけど、とっぷりと陽が暮れてしまったので、窓から何も見えないのは仕方なし。
(ま、見えても水平線だけなんだけど。)
で、浴室を見回してみると…
お、『クイーンコーラル』号時代はタイル貼りだった浴室&湯船が、檜風呂になってる!
これも『クルーズフェリー 』へのリニューアルの一環なんでしょう。
まだまだ直したてなんで、檜のいい匂いが漂ってきます。
入浴客は僕を含めてたった3人、そして途中から貸切に。
なので「まともにお風呂に入れない」なんだけど、
乗客が大挙して押し寄せるんで満員で入れない、というわけではないらしい。
「それにしても、なんか湯船に張られているお湯の量が妙に少ないなぁ…」
『クイーンコーラル』号時代は節水のために、使えるのはシャワーのみだったらしいんだけど、
『イースタンドリーム』号でもお湯の量をケチってるのかな?
あれ、でも蛇口からはジャバジャバとお湯が注がれているなぁ、どうゆうこった?
…なんて思ってた次の瞬間、船の縦揺れに連動して
東映オープニングの『荒磯に波』もかくやという白波が、浴槽横の壁を叩きました。
「 おぉっ、これはスゲェ!!」
ということで、いそいそと身体を洗い、早速湯船に入ってみると、
船の縦揺れと連動して、まず身体が1mくらい軽く横に持っていかれそうになり、そして…
湯船には波の出る流水プールなんてメじゃない、波高が50cmくらいありそうなが!
入っている僕は波をモロに喰らい、そして元居た場所に戻されます。
この「引き潮→大波」という一連の動作が、船の揺れが大きい時に何回も何回も連続して発生。
わー、これは時化た時に海水浴をやっているようなもんだ!(もちろんやったことないけど)。
これでは入浴中に溺れても、全然不思議なことじゃない。
ツアー客Aさんがぼやいていたのは、
「お風呂に入れない。」
ではなく、
「お風呂に入っていられない。」
ということだったんだー。納得納得。
僕が脱衣場に上がると入れ違いに韓国人のガキが二人浴室に入って行き、
何言ってるか解らないけど(「わー、スッゲェー波!」とかいう意味だとは容易に想像できるけど)、
キャッキャと興奮して騒ぐ声がエコーで響いていましたね。
で、こちらは1Fにあるシャワールーム。
利用時間は大浴場といっしょの深夜12時まで。
こちらも壁がレンガ状にリフォームされていると思われ。
それはともかく、大浴場閉鎖中の深夜に利用可能ならわかるけど、同じ時間ではなぁ。
これじゃあシャワールームの存在価値って…?
(こちらは利用せずに写真撮っただけ。)
大浴場のビッグウェーブを堪能した後は、風呂上がりの一杯ターイム!
さあ、お待ちかねのみょんせめっちゅ(免税ビール)だぁっ。
船内には自販機がないようなので、ファミリーマートへGO!
店内は…せ、狭いっ!広さは8畳くらいしかありません。まぁ船内売店なんだから仕方ないか。
そんなことより、めっちゅ!めっちゅ!
店内奥のドリンク冷蔵庫にまっしぐらです。
えーと、めっちゅ、めっちゅ、めっちゅ、めっちゅ、めっちゅ………
めっちゅぬんおでぃえよ?(ビールはどこだ?)
エッ?マジ?!
めっちゅぬんおぷそよ!(ビール置いてない!)ってか!
ウソだろ?誰かウソと言ってくれっ!
ビールがあれば棚のおつまみも買ったんだろうけど、ビールがないならこんな店に用はない!!
(ノ`Д´)ノ~┣・∵.
怒り心頭で部屋に戻り、蟹屋Cさんにこの事を話すと、
「そうそう、コンビニにビールが置いてないなんてなぁ。
で、前回乗った時に文句言ってやったら、『ビールはバーかナイトクラブで飲んで下さい』だと。
フザケた話だよな。」
と憤慨なさっておられました。
僕はというと、たまたま韓国内で買った缶ビール1缶と、
海雲台の焼肉屋で飲みきれずにテイクアウトしたマッコリ500mlが鞄の中に残ってて、
これらを冷蔵庫で冷やしておいたんで風呂上りの一杯ができて事なきを得たんだけど、
ホントやんなっちゃうよな。
みなさーん!
『イースタンドリーム』号に乗る時は、ビールの準備を忘れないように。
こんな感じで文句ぶーたれつつも、偵察のため『BAR カヌンギル』に再びやって来ました。
室内はもしかするとディナータイムより若干光量を落としてあるのかな?
お客も少なくてザワザワしてないこともあり、
先程とはうって変わってなんとなく落ち着いた雰囲気です。
これがメニュー。
ただ、夕御飯の晩酌として小瓶2本、風呂上がりに缶1本、
合計1リットル程を胃袋に流し込んでいるので結構なビール腹。
そしてバイキングを思いっきり食べたばっかなので、別腹のキャパもなし。
何にも欲しくないけど、でも何も頼まないというわけにもいかないので
一番安いビール5000W(398円)を注文します。
すると晩飯時に飲んだ小瓶が、おつまみのサキイカ付きで出てきました。
晩飯時は4000Wだったので、つまりサキイカは1000Wというわけね。
BARの偵察もできたことだし、ここで一人黙々とビール飲んでても仕方なし。
そこでもうこれ以上入らないといいつつも、
小瓶ぐらいなら「けんちゃなよ(ノープロブレム)」なので、グビッと呑み干して早々に退散することに。
で、レジで10000ウォン札出したら6000ウォンお釣りをくれた。
あれっ?サキイカ代は?
…ま、いっか。
これで『イースタンドリーム』号のパブリックスペースの全紹介が終わったのか、というと、そうでもありません。
実はメインエベント的な場所が残ってるんです。
そこは、先程のCさんの会話の中に出てきた『ナイトクラブ』。
話は変わりますが、この写真は部屋にあったテレビを写した物なんですが、
なんか黒い画面にチカチカした白い物が映っていますね。
これ、何だと思います?
さて話は20:45頃の、Cさんとの会話に戻ります。
「そうそう、コンビニにビールが置いてないなんてなぁ。
で、前回乗った時に文句言ってやったら、『ビールはバーかナイトクラブで飲んで下さい』だと。
フザケた話だよな。
で、さっきナイトクラブに行ってみたら、そしたら、
『オープンは9時からだからまだだ』と追い返されたんだ。
もう少し丁寧な言い方もあるだろうに、もう行ってやらん。」
Cさんが憤慨なさっていたのは、実は
「コンビニにビールが置いていない」と、「ナイトクラブに行ったら『まだだ』と追い返された」
この2点についてだったのです。そして
「テレビのチャンネルを変えてごらん。
この画面は、ナイトクラブのカラオケステージを映した物なんだ。
ほら、四角いカラオケ画面と、舞台や壁にミラーボールの反射した光が映っているだろ。
店がオープンして誰か客が来てあそこでカラオケを歌うと、船内に中継されるのさ。」
と教えてくれました。
そして程なく時刻は21:00になりました。
ところがしばらく見てたけど、画面は何も変わらず。
放送事故のように、無音声で相も変わらず無人のカラオケステージが映され、
真っ暗なままの店内にミラーボールの光が寂しく瞬きます。
一人でナイトクラブに行くのもなんなんで、
だれかお客が来たら僕も偵察に行こうと思ってたんだけど、だーれも来ない。
なのでナイトクラブの前に、先にBARの偵察に行くことに。
そしてBARでサキイカをおつまみに、ビール小瓶を胃に流しこんでいた21:30頃、
これまで船内放送なんぞ一切なかったのに、突然
「ナイトクラブでは皆様のお越しをお待ちしております。」
という日本語を含めた多国語による船内放送が流れました!
出港前後のインフォメーションの慌しさにより、ついつい船内放送を入れ忘れ。
てたんだけど、そのドタバタもようやく一段落。してみると船内放送してないことに気づき、
そしてナイトクラブ係から
「客が来ないから放送入れて。」
と泣きが入り、ようやく初の案内放送を入れた、という流れではないかと思われます。
「お、ようやく日本語の案内放送が入った。この放送でナイトクラブにも客が入るかな?」
ということでBARを撤収して、部屋に戻ってきてテレビ画面を見てみたんだけど、全く変化なし。
相変わらず無人のステージとミラーボールの光がチカチカとエンドレスで映っているだけ。
この画面を点けっ放しにしたまま就寝したんだけど、
とうとうこの画面が変わることは一晩中ありませんでした。
そしてこれが『ナイトクラブ COLOR’S』の入口。
結局店に入ることはなかったんだけど、外から写真だけは撮りました。
この様にライオンのレリーフと電光掲示のネームプレート。結構凝っています。
それもそのはず。このナイトクラブも、
『クルーズフェリー』へのリニューアルの一環として後部甲板に増築されたんです。
それにしても、これだけお金かけてナイトクラブ造ったのに、お客0ではなー。
せっかく船内TVでカラオケステージを中継しているんだから、
21:00の開店時間になったら無人のステージを映し続けるんじゃなくて、
女性接客員(たぶんフィリピーナ)がステージでカラオケ歌って盛り上げたりして、
ついついお客が行きたくなる様にしたほうがいいと思うんだけど。
ということで、ファミマでお酒を売っていないので、船内でお酒を飲むためには、
・持ち込む。
・食事中に頼む。
・食後なら『BAR』か『ナイトクラブ』で飲む。
・免税店で洋酒、ファミマで氷を買い、食堂の水で水割りを作る。
という方法が考えられます。
個室を定員で占拠できたら別だけど、
そうではない場合は他のお客さんの迷惑を考えて、食堂で宴会しましょう。
今回懸念されていた「韓国人が通路で宴会を始めた」は、結局行われませんでした。
ツアー客の皆さんがその場面に遭遇したのは『境港→東海』。
これは日本人にとっては『行き』ですが、韓国人達にとっては『帰り』。
旅程を終了してあとは帰るだけ、という『後夜祭』気分が、『通路での宴会』に発展したんでは。
そして今回の『東海→境港』は、逆に日本人にとっては『帰り』だけど韓国人達には『行き』。
ここで大騒ぎしたら明日からの旅のスケジュールに影響する、ということで大人しかったのかな。
じゃあ逆に日本人が騒いでも、というと、
あまり好評なツアーでもなかったんでそんな気にもならず、という感じなのかも。
これは『イースタンドリーム』号のファンネル。
ナイトクラブといい、ファンネルといい、
まるで高速道路のインターチェンジ付近に乱立するラブホテルのネオンくらいのセンスで、とても綺麗です。
というわけで、これで『イースタンドリーム』号の紹介は終わり。
出港前後の段取りの悪さが目に付いたけど、出港後はそれほどでも。ま、ギリ許容範囲なのかなぁ。
(段取りの悪さに慣れちゃって、それが当たり前に感じる様になっちゃっただけかもしれないけど。)
パブリックスペースも、こじんまりながら必要なものは揃ってるし。
ただファミマにビールが置いていないのだけは絶対にいただけない 凸(`、´メ)。
また、懸念されていた「韓国人が通路で宴会」については、今回は行われず。
ということで『奴隷船』への認定は、すんでの所で回避されました。
でもでも、もっとサービス向上に努めて欲しいのは確か。
まだまだ突っ込み所は満載なので、やりようはいっぱいあると思われます。
おはようございます。
境港帰港、日本帰国の朝を迎えました。
でも朝起きると、なんだか船内はとっても慌しい。
7:00前には
「7時よりカフェにて朝食の準備ができております。皆様お誘い合わせの上おいで下さい。」
7:30頃になると、
「朝食は8時までとなっております。お早めにご利用下さい。」
と、昨日とはうって変わって多国語放送がガンガンに入ります。
ということで、放送に急かされてカフェに。
ブレックファーストもバイキング方式。
料金は、6000ウォン≒464円<5ドル≒482円<500円
もちろん大量に余ったウォンで支払います。
売店とかでお金を使わなければ、これがこの旅最後のウォン支払い機会となるはず。(→なりました。)
メニューは、相変わらず没個性的。
ホテルの朝食バイキングとなんら変わるところがありません。
でも500円という価格設定からいえば、味も無難に美味しいし、充分合格合格。
今回は洋食系のメニューをチョイスしたんだけど、
ワンポイントとして、使うあてもないけど韓国のりを加えてみました。
ただなぁ、お皿下げ係のフィリピーナがなぁ。
確かに朝食の営業時間の遅めに、もう大方の乗客が食べ終わった後にカフェに行ったよ。
で僕の他に食べてる人も、もうあんまりいなかったよ。
だからといって、僕が食べ終わるのを背後でわんこそばの給仕さんみたくジーっと待っていて、
お皿が空いた瞬間、
まるで競技かるたの様なタイミングで間髪入れずにお皿下げるのもねー。
そりゃあ、早く仕事終わらせたいのもわかるけど。
そんなこんなもありましたが、
食後のモーニングコーヒーを飲んでいると、前方に陸地が見えてきました。
さぁ、境港帰港・日本帰国も文字通りもう目前です。
こうして境港に無事入港。
例によってクレーンに吊られたタラップでの下船になります。
ところがところがこのタラップ、祖谷温泉にあるかずら橋もかくやというくらいに
揺れ~る揺れる~ぅ!
僕が下りた直後のご婦人が、あまりの揺れにタラップ中央で立ち往生。
慌てて係員が鞄持ってあげてサポートしたお陰でやっとこさ下りられました、っていうくらい。
ただいま、日本!
あとはイミグレを無事通過するだけ。
まぁ税関で申請する物も特にないし…と思ったら、
あっ、しまった!
マッコリを冷蔵庫に入れっぱなしにして置いてきちまった。
…ま、いっか。グスン。
<< 「その3の1 イースタンドリーム号 東海出港編」へ | このページのトップへ戻る
文章・写真共にはにーさんの著作です。