とん助 の「パンスタードリームで釜山へ!」
その6 釜山入港

さて、展望ラウンジ“The PARADISE”で同行者と釜山上陸後のお楽しみを相談していると、前方の窓からポツポツと大きなコンテナ船が見えるようになりました。釜山港に近づいた気配がします。

釜山入港

甲板員が接岸作業の準備に入りました。

靄にかかりながらも陸地が見えてきました。あれが釜山!昼間に釜山に着くのは初めて。最初に見える陸地が島でも郊外でもなく、港町というのは珍しいんじゃないかな?

釜山港に近づいたら次第に船の揺れが収まるだろうと思ってたのですが、実際はその逆でした。港に近づけば近づくほど波が高くなって揺れも大きくなる。海流のせいなのか今日の天候の影響なのかは分からない。

それでも港の防波堤に近づく頃には波も揺れも収まりました。

船首にパンスターの旗が揚がりました。釜山港大橋が目の前に迫ってきたタイミングで、ラウンジに女性スタッフが入ってきました。この時間をもってラウンジは閉鎖とのこと。屋上デッキへ急ぎます。

パンスタードリームは近未来的なデザインの橋脚を見ながらゆっくりと入港します。橋は5月に開通したばかり。

釜山港大橋を通過すると大きく左へ転回。右舷側の奥に、2015年7月に開業予定の新しい国際フェリーターミナルが見えてきました。

新しいフェリーターミナルは釜山駅のすぐ近く。釜山港大橋と一緒に未来の釜山港を象徴するものになるんでしょうが、私は右奥に見えてきた釜山タワーと現在のフェリーターミナルの70~80年代的な風景も好きです。『釜山港へ帰れ』でイメージするのはこっちの方。

いよいよ接岸です。接岸後すぐに航走したコンテナを運び出せるように、岸壁にシャーシを並べて待機。船はゆっくりと慎重に近づきます。

係留ロープが岸壁にある鉄製のビット(石原裕次郎が片足をひょいと乗せてるイメージのやつです)に掛かりました。これからは船側のウインチを巻きながら接岸させます。

接岸するタイミングでは、船の勢いが弱まらず岸壁にドーンと当たることがまれにあります。身を乗り出すように覗き込んでたら衝撃で身体ごと持って行かれて転落する危険があるので、接岸する瞬間はデッキの欄干から離れるようにしています。

まあそれにしても岸壁にはコンテナが所狭しと置かれています。船上から見ると足の踏み場がないと表現したくなるほど。

定期フェリー航路が現状のままなら今のターミナルでも大丈夫だと思うのですが、クルーズ船専用ターミナルからあぶれた客船が接岸するとなると収容能力が限界だというのは素人目からも想像がつきます。移転は寂しいけどやむなし。新ターミナルのオープンをきっかけに国際定期フェリーのますますの繁盛を願うところです。

10時6分。パンスタードリームは19時間の旅を終えて、釜山港に到着しました。

船室に戻ってランプウェイが開くのを眺めてると、部屋を見回りに来たスタッフからロビー集合を案内されました。部屋の鍵はドア横のキーポケットに入れておいてください、とのこと。

急ぐ旅じゃないので下船は一番最後でもいい。少し名残惜しい気持ちで部屋を後にします。

ロビーでは下船待ちのためのレーンがクルーズゾーンとフェリーゾーンに分けられていました。クルーズゾーンの乗客は優先的に下船したのでしょう、私たちが着いたときにはもうフェリーゾーンの乗客だけに。列の最後に並んで船から降ります。

釜山に上陸!

船内のエスカレーターを降りると釜山港では飛行機の搭乗橋と同じように、通路が乗船出入り口と同じ高さに着けられていました。これは楽々でいいですね。パンスタードリームが接岸したバースは突き出てる埠頭のいちばん先。薄ら寒い通路を延々と歩いたんですが、久しぶりに長い距離を自分の足で歩くのでちょっと気持ちがいい。

写真に見える搭乗橋は博多行き「ニューかめりあ」専用のもの。左側に見切れてしまったのがパンスタードリームの搭乗橋。このバースは昼間10時~15時までパンスタードリームが使用して、夕方18時~夜遅くの出港までは「ニューかめりあ」が使用する組み合わせに。今日は土曜日なので大阪行きはない。「ニューかめりあ」が入港する夕方までにどこかへ係留するため再び離岸するのでしょう。

私は船の写真を撮るために時々立ち止まって外にカメラを向けるのですが、同行者も同じように足を止めて写真を撮ってます。船が名残惜しくなったのかな?

船を降りたらパスポートにスタンプを押してもらって、両替をして、インフォメーションで日本語パンフレットをたくさんもらって。あとは自由です。

さあ釜山を楽しもう!ご飯を食べに行こう!どこ行こっか?取りあえずホテルに荷物置いて、その後は…広安里ビーチでお祭りがあるらしいから、どんなもんか見てみよう。その前に地下鉄の中央駅までちょっと距離あるけど、がんばって歩きましょう!

乗船を終えて

初めてパンスターの船に乗りました。

クルーズ客船のサービスをめざす「クルーズゾーン」と従来のサービス「フェリーゾーン」を一隻のフェリーに併存させるユニークな発想。

実際に自分が乗ってみて、フェリーとしてのサービスは想像してた以上に素晴らしいと感じました。とくに客室スタッフの接客姿勢は私が乗船したいくつかの国際定期フェリーの中で最上のものです。ホテル並みと言っても過言ではありません。反対にクルーズ船のサービスを期待した人には、施設の面で不足を感じるかもしれないな、とも思いました。

このユニークな試みが始まったのは、日本のLCC元年を翌年に控えた2011年。フェリーよりも格安で、しかも速く移動できる時代を迎えて、船の特性と魅力を追求したサービスが誕生したことは本当に素晴らしいですね。そして私たちがこのユニークな船旅とLCC両方のおいしいとこ取りができるのもありがたいことです。

釜山まで19時間。ちょっとゆっくりしに行ってくるには絶妙な時間だと思いませんか?

友達や親しい仲間と一緒に行ってもいいし、しばらく会ってない旧い友人と行くのもいい。

1人旅行でも大丈夫ですよ。気後れしないでどうぞ。レストラン「ムグンファ」の丸テーブルは、知らない人どうしで座っても気軽に会話を始められるスタイルです。

乗船中は自分なりの方法で楽しんでください。好きなことをするといいでしょう。趣味のものを持ち込んでもいい。グータラを徹底してもいい。何にもやることがなければ寝てもいい。寝るのが嫌いな人はいないはず。幸か不幸か、パンスタードリームはクルーズ客船に比べるとアミューズメントが限られる船です。無理やりイベントスケジュールを消化する船旅にはなりません。

釜山に着いたら、ここでも日本にいるときと同じことをすればいいと思います。食べ歩きでもショッピングでも散歩でも。外国の街を歩くと何か違うものに気付くものです。それを帰りの船の中で思い返して、何かを発見するかもしれません。そういう体験をもとに得られるものって、自分の価値観を支える柱のひとつになったりします。

ま、そんなたいそうな旅の目標を持たなくても、気分転換に乗るくらいがいちばん楽しいですね。

無料招待してもらった分くらいの感想は書けたかな?(^^;)

もしこの旅日記を読んで船旅に興味を持たれたら、自分なりの旅の楽しみと成果を見つけてもらえれば嬉しいです。

(おわり)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする